臨床心理学的サムライ考察(2)-コペンハーゲンで考えたこと

コペンハーゲンの兵隊さん
コペンハーゲンの兵隊さん

前回、サムライ考察(1)を書いてからずいぶん日が経ってしまいました。

 

そうそう、サムライについてです。

 

コペンハーゲンのチボリ公園で僕がチンピラにからまれたのはどうでもいいのですが、日本人にとって、そして外国の人にとって「サムライ」とはどのようなイメージなのでしょうか?

 

昔、日米の山をアメリカ人の友人と登っていた時期がありました。友人はいつもチワワの『ピーナッツ』とともに登ります。『ピーナッツ』はチワワにしては大型で、やや性格が荒いのですが山が大好きで、いつも僕たちの先頭を切って登ります。

 

ところが、日本である山の中腹を登っていた時に突然ピーナッツが吠え始めました。僕たちがいくら叱っても吠えやみません。熊でも出てきたのかと思ったほどでした。

 

けれども数分して現れたのは、どちらかというと痩せ型のごく普通の日本人男性一人でした。僕にとってはなぜピーナッツがあんなに吠えたのか全く分かりませんでした。

 

けれども、飼い主である友人は

゛Oh, he was Samurai! That's why Peanut barked so hard."

 

僕の友人のアメリカ人にとっては、痩せた普通の日本人男性が「サムライ」の典型に見えたらしいのです。たしかにその男性は、寡黙で伏し目がちであるうえにまるで『無我』の境地にいるかのような存在感で山道を歩いていました。

 

そう、サムライは決してマッチョな男である必要はありません。見るからに強そうである必要もありません。そこにあるのは『存在感』だけでいいのではないでしょうか?

 

では、その存在感とは何でしょうか。

もう20年以上になりますが、長期の心理療法をしていた青年が以下のような発言をしました。

「僕は確かに弱い人間です。そして、今、僕は自分の弱さをとてもよく分かっています。自分の弱さ、弱点を十分に知っているという意味で、僕はもう弱くないのです」と。

 

彼とともにいろいろなプロセスを経てきた僕は、その深い意味がとてもよく分かったので、それを聞いて思わず涙してしまいました。

 

そう、サムライの遠い末裔である現代の私たちに必要なのは、「自分の弱さを十分に知る」という事なのではないでしょか?

 

それは自分たちのプレイスタイルを貫くことでも、チンピラを撃退することでもなく、本当に自分の弱さを知り、それに向き合う事なのではないでしょうか。そうすれば自然に『シャキッとした』存在感が醸し出されるのではないでしょうか?

 

ちなみにコペンハーゲンには、兵隊さん(衛兵・現代のサムライ?)がいて、時々町を行進しています(上記添付写真)。

でも、コペンハーゲンで一番シャキッとしているのは、自転車専用レーンをものすごいスピードで駆け抜ける自転車通勤の人たちです。

その人たちにとって信号無視なんてとんでもありません。

 

日本に帰ってきて一番感じたのは、左右を見ずに道を渡ろうとする人や無作為に走る自転車、歩行者専用歩道をものすごいスピードで駆け抜ける自転車たちです。ここにはもはやサムライの面影はありません。

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